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【ぶんか】和装小物「組紐」のはじまりは1万年前の縄文時代

2023.06.15

組紐について

組紐とは

組紐とはそのままの意味で、糸を組んで作った紐です。

現在では着物の帯どめに使われます。また、箱や袋などを包むときに使う紐やストラップなどにも使われています。

この組紐では「伊賀組紐」と「京組紐」が有名で、生産量が最も多いのは「伊賀組紐」です。

伊賀組紐の特徴は、あざやかに染められた絹糸に組糸として金糸・銀糸を使って組み上げられ、これらが交わって輝く美しさです。

特に、手で組み上げたものは最も上級な品で、伝統的工芸品にも指定されています。これは、独特の風合のある華やかな組紐です。

組紐の歴史とはじまり

組紐の技術は、昔から日本にあったようです。現在の組紐の技術は、6世紀中ごろの「仏教伝来」とほとんど同じときに、大陸から伝わったと言われています。

組紐のはじまりは1万年前の縄文時代

縄文時代の「縄文」は「縄文土器」から名前が付けられています。

縄文土器とは「縄」の模様をつけた土器のことです。この縄は植物の「シダ」を組んで作った初期の組紐です。

縄といえば「わら縄」を思い浮かべることが多いと思います。しかし、「わら」が使われるのは2300年前頃の「弥生時代」に稲作が始まってからです。

仏教と組紐技術が伝わる

仏教が伝わる前にも、組紐の技術はありました。古墳などから発見される埴輪にも簡単な組紐をつけたものがあります。

6世紀半ば、仏教が伝わった時に、経典や僧侶の袈裟(衣装)等に使われる今のような組紐の高い技術が伝わりました。

法隆寺や正倉院の宝物の中にも組紐が残っています。

組紐と時間ごとの移り変わり

飛鳥・奈良時代6世紀後半から8世紀頃まで
仏教と一緒に伝わったので、経典や袈裟のほか、お寺の中の飾りになる仏具やお堂の外に掛ける幡にもこの組紐が使われていたようです。

法隆寺に残されている聖徳太子の像には組紐で刀を吊る太子像が描かれています。高貴な人のアクセサリーとしても使われていたようです。

この頃から現在の三重県伊賀市付近で専門的に組紐が作り出されました。今でもこの地域が一番の生産地となっています。

平安時代9世紀~
飛鳥時代や奈良時代に朝鮮半島を通じて伝わったので、色の数もあまり多くありませんでした。デザインも丸や四角などの模様が多く、大陸風のものでした。

貴族の時代となった平安時代からは、大陸風のデザインよりも色彩がより豊かになり、複雑な網目が使われました。そして、繊細な和風の趣が強くなりました。

様々な目的で使われ、貴族の冠や着物のアクセサリーのほか、お守りを首からつるすための紐なども作られました。

また、荷物を包む時にも組紐が使われました。貴族がそれぞれ結び方を工夫し、他の人が結びなおした場合には、すぐに分かりました。これは防犯の目的もあったようです。

伊賀組紐の次に生産量が多い京組紐はこの頃から現在の京都府宇治市周辺で始まったようです。

鎌倉時代13世紀~
組みひもの技術は平安時代に発展しました。

そして侍の社会となった鎌倉時代には組紐が様々な目的で使われました。鎧や他の武具のアクセサリーとして使われるようになりました。


武具などに使われるようになったので、実用性が重視されるようになりました。そのため、色が落ち着いたものになりました。

室町時代・安土桃山時代15世紀~


組紐の組み方そのものには大きな変化はありませんでした。茶道や華道が人気になり、これらに使用する道具の飾りのために組紐が多く造られました。

茶道の道具を保管する場合には、専用の袋に入れたり、箱に入れたりする必要があります。

高い茶器が壊れないようにしたり他の人に勝手に見られないようにする工夫も組紐にありました。

裏千家や表千家のような茶道の流派ごとに違う組紐の結び方をしています。

江戸時代17世紀~


はじめの頃は侍の力が強く、刀の下緒やその他の武具に使われることが多くなりました。組紐の専門の技術者も増えて「伊賀組紐」「京組紐」に続いて「江戸組紐」も出来ました。

中期以降には、経済の中心となってきた町人のための組紐も作られるようになりました。

武士の道中着を工夫した羽織が作られ、羽織紐も作られました。

江戸末期になると組紐は一般の人にも多く使われるようになり、帯留めや帯締めにも使われていきました。

明治時代19世紀末~
1876年の廃刀令によって、刀等の武具用の組紐はかなり減りました。そして、現在まで和装品としての羽織の紐や帯締めが多く作られるようになりました。

現代の組紐


生活が洋風化し和装用品だけでなく、キーホルダーやブレスレッドなどのアクセサリーにも多く使われるようになっています。

まとめ

組紐は、このように長い歴史を持ちます。1976年に「伊賀くみひも」「京くみひも」として国の伝統的工芸品になりました。

世界を見ると、現在ではほとんど作られていないようですが、地球の裏側のペルーのアンデス地方では高度な組紐が紀元前700年ごろから作られていたそうです。


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