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【ぶんか】昔の「国」の名のついた「伝統的工芸品」の「漆器」

2023.06.15

伝統的工芸品とは

伝統的工芸品は、経済産業省が認めた工芸品です。
伝統的工芸品は現在263品目あります。

一般的に、伝統的工芸品は100年以上の伝統がある工芸品です。
「伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)」では、以下の5つの条件を決めています。

  1. 主として日常生活で使用する工芸品であること
  2. その製造過程の主要部分が手工業的であること
    (手工業的とは手で作ったという意味です。)
  3. 伝統的な技術もしくは技法によって製造されるものであること
  4. 伝統的に使用されてきた原材料が主な原材料として用いられ、製造されるもの
  5. 一定の地域において少なくない数の人がその製造を行っているもの
  • 「漆器」
  • 「陶磁器」
  • 「織物」

を含めて、15業種が「伝統的工芸品」の業種です。

 

漆器(英語ではjapan)

漆器は英語でjapanと呼ばれています。
まず漆器について説明します。

漆器とは

木や紙で作った土台に漆をぬって固めます。
漆器は食器の他にも、

  • 茶器
  • たんす
  • 刀のさや

などの美術的に評価の高いものもあります。

一般的に漆器はお椀やはしのような食器類です。
土台にぬる漆は、英語で”japaneselacquer”といいます。

漆器の産地

漆器の原材料は、「ウルシの木」から出る液体です。
これを「漆」と呼びます。
そして「木地」と呼ばれる土台の部分は木や紙です。

北海道にある1万年以上前の縄文遺跡から漆製品が発見されているほか、
全国各地でも様々な品物が出土したりしています。

現在では国産の漆は全体の使用量の数%にまで減少しました。
そのうちの

  • 70%が岩手県
  • 15%が茨城県
  • 10%が栃木県

となり、生産をする県も激減しています。

100年以上前の資料では、北は青森から南は九州鹿児島まで
主な産地が30か所ありました。

伝統的工芸品に指定された産地と漆器の名前

生産府県と漆器の名前

全国17府県とそこで生産される漆器23種類が伝統工芸品です。

 

三大漆器

日本には三大漆器と呼ばれる三つの漆器があります。

  • 福島県の会津塗
  • 石川県の輪島塗
  • 石川県の山中塗

です。

▼ 会津塗のグラス

 

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昔の国名がついた漆器

漆器の生産地に地名が付けられることが多いです。
漆器の中には昔の国名をつけたものもあります。

  • 福井県の越前漆器・若狭塗
  • 和歌山県の紀州漆器
  • 沖縄県の琉球漆器

があります。

▼ 和歌山県の紀州漆器

 

若狭塗

▼ 若狭塗の塗箸

若狭塗は特に「塗箸」が有名です。
「若狭国」(今の福井県西部)で作られるので、若狭の名前が付けられています。

若狭国の国府がおかれていたのが小浜市です。

国府とはその国の中心機関のことです。
その縁からか、アメリカのオバマ元大統領に塗箸が送られました。

また世界で一番古いと言われる漆の木の枝は、
若狭国にあった「鳥浜貝塚」(今の福井県三方上中郡にあります)で発見されました。

この漆の木の枝は、約12600年前のものです。
この貝塚からは赤漆をしみこませた糸で作られた装飾品や、
黒漆の上に赤漆を重ねた土器が発見されてました。

漆を使った国宝

7世紀に法隆寺という寺が建てられました。
その寺にある「玉虫厨子」が国宝になりました。

興福寺という有名な寺にある阿修羅像という仏教芸術の像も漆が使われています。
そしてこの像も国宝です。

漆を使ったものは芸術品を美しくするだけではなく、
1000年以上経っても、その美しさを保つことができます。
漆のとくにすごいところです。

参考:伝統的工芸品 (METI/経済産業省)
文章・画像提供:gmaru様


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