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西国巡礼でもよく 目にする漢字について

2023.06.15

漢字の 話

西国巡礼の 一番札所である 「青岸渡寺」や八番札所である「長谷寺」などのお寺の名前は、漢字で書かれます。

巡礼の信仰の対象である仏様は、「千手観音も漢字」ですが、その観音様の名前も漢字で書かれています。


お寺に納める「写経」も漢字で書きます。

このように西国巡礼にも深く関わっている「漢字」について 少し説明をしたいと思います。

漢字の字体

世界の中で、新聞や公的文書に漢字が使われているのは、日本以外では、中国と台湾だけです。


台湾では、「繫体字」と呼ばれる難しい字体の漢字を使います。
中国では「簡体字」という思い切って簡単にした字体を使っています。

台湾と中国では、字体はちがいますが、文章はすべて漢字を使っています。
ちなみに、繫体字で書くと、「台湾」は「臺灣」です。「中国」は「中國」です。
「繫体字」は「繁體字」です。それぞれ複雑な字に変わります。

現在、日本では公的文書には「常用漢字」と呼ばれる字体を使用しています。
時には、台湾の「繫体字」に当たる文字を「旧字体」として使うこともあります。

日本語の特徴は、1000年以上も前に日本で発明された「かな」を使っているところです。
「漢字」と「かな」が混ざった文章です。

「当用漢字」「常用漢字」


漢字の数は5万字以上あると言われています。
書くのが難しい字や、日常では使われない字が多かったので、 いまから100年くらい前に、漢字を整理しようという動きがありました。
当用漢字
1946年に、当時の、国語審議会というところが、
「法令・公用文書・新聞・雑誌・一般社会で使用する漢字」を「当用漢字」と名付けて、 1850字を選びました。
このとき、当用漢字のうちの300字ほどが書き方が難しいので、 簡単な字体に変更されました。

もともとの字体を「旧字体」としました。

たとえば、西国巡礼に深く関わっている「書寫山」の「寫」という漢字は、「写」になりました。
「圓教寺」の「圓」という字も「円」になりました。


ガイドブックなどでは、この新しい字体が使われています。
また、「佛敎」は「仏教」に直され、「お經」は「お経」に直され、「觀音」も「観音」に変更されました。

お寺によっては、お寺の古い歴史を感じさせるためかホームページや看板などでこの古い字体を使っているところもあるようです。

ちなみに、「旧字体」という漢字は変更されたあとの新しい字体です。
元の字体で書くと「舊字體」と書きます。

旧字体では、「旧」は「舊」で、「体」は「體」です。
とても難しい字なので、一般人には書くことができず、もちろん読むことも難しいです。

カタカナの推奨
また、このとき外国の国名や外来語は、漢字ではなくカタカナで書くことが推奨されました。

たとえば、外国の国名は
「インド(漢字では印度)」や「ベトナム(越南)」などと書くようになり、
食べ物も「ハム、ソーセージ」「ビーフステーキ」などと書くようになりました。

常用漢字


当時は、「洪水」の「洪」や「雨傘」の「傘」が当用漢字に含まれていませんでした。
「こう水」「雨がさ」と書かなければいけないので、不便でした。

1981年に、これらの不便さをなくすため、
「洪」「傘」や、「猿」「猫」など、
96字を「当用漢字」に加えました。

その呼び名も「常用漢字」と改められて、1945字になりました。
2010年には、さらに196字が追加され、5字がなくなり、現在の2136字になりました。

この「常用漢字」は、日常の社会生活で分かりやすく通じやすい言葉の目安とされます。

教育の場では「教育漢字」とされ、小学校で1026字、
中学校で残りの1110字を書けるようにすることが求められています。
高等学校ではこの2136字すべてを正しく読めることが求められています。

日本独自の仮名文字

仮名の歴史


日本にはもともと文字がありませんでした。

日本語の独特の言葉は、中国から伝わった 漢字の「音」を借りて作っていました。
5世紀ごろから、漢字の音を使って、 「かな」として使っていたようです。

日本で最も古い和歌集である「万葉集」で使われたので、
「万葉仮名」と呼ばれています。


たとえば、「初春の」を「波都波留能」として、一字づつ漢字を当てはめていました。

ひらかなとカタカナの誕生


ひらかなは、1000年くらい前に、漢字をくずして書く「草書体」から生まれたと言われています。

「あ」という字は、「安」をくずしたもので、「い」は「以」をくずしたものです。

ひらかなは、特に女性に向いている字と言われます。
当時の女性である「紫式部」や
「清少納言」という人人たちが
「源氏物語」や「枕草子」という読み物を書きました。

カタカナはもっと古くからあり、「正倉院」の公文書には、「多」を「タ」と書いてあり、「牟」を「ム」書いてあり、カタカナの原型のような字が残っています。

ひらかなは草書体から生まれましたが、カタカナは漢字の 「偏」や「旁」といわれる漢字の一部から作られています。

ほかにも、「イ」は「伊」の左側の「偏」である「イ」からできており、「ニ」は「仁」の右側の「旁」である「ニ」から作られています。
ひらかなとカタカナの使い分け
現在、ひらかなは漢字とともに文章に使われています。
カタカナは国名や外国語に使われています。


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