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昔の「国」の名がついたおいしい食べ物

2023.06.15

世界的に有名な黒毛和牛の「但馬牛」ついて

日本の牛肉は世界でもとても有名です。

特においしいことで有名なのは「神戸肉」と「松坂肉」です。
これらの牛肉には日本の昔の地名がつけられています。

「神戸肉」は「神戸牛」と言われることもあります。

しかし実は生きている「神戸牛」はいません。

神戸で育った牛だから「神戸牛」なわけではありません。
厳しい条件を満たした「但馬牛」の牛肉を「神戸肉」とか「神戸牛」と呼ぶのです。

一方「松坂牛」は「但馬牛」を一定期間以上松坂地方で育てた牛にしか使えない名前です。
そのため松坂牛とは、牛肉のことも指しますが生きている「松坂牛」もいます。

「但馬牛」が黒毛和牛すべての起源

黒毛和牛の原種としての「但馬牛」
日本国内で色々な地方の名前がついた黒毛和牛がいますが、その原種となる牛が「但馬牛」です。

兵庫県の北部である但馬地方は1000年以上前から質の良い牛の産地でした。
697年に作られた「続日本紀」という正式な歴史書の中で但馬牛は「農業や食用に最適な牛」と紹介されています。

1800年代の後半に日本で牛肉を食べる文化が始まりました。
当時神戸には外国人がたくさん住む地区がありました。
そしてこの但馬牛の牛肉が「神戸ビーフ」として外国人に人気になりました。

その後横浜などの外国人が住む地域でも評判となりました。
神戸を経由して伝わったので「神戸ビーフ」という名前で有名になりました。

アメリカのオバマ元大統領が、2009年に日本に来た時に「日本では神戸ビーフを食べたい」と言ったことは有名な話です。
「但馬牛」は知的財産権⁉


知的財産とは人間の知的活動によって生み出されたアイデアや創作物などのことです。
これらには財産的な価値を持つものがあります。
そのため知的財産としてその権利が守られています。

2015年に「特定の産地と品質等で結びつきのある農林水産物や食品等の名称」を知的財産として保護するための「地理的表示法」が作られました。

地名をつけた牛肉の中で第1号の指定が「但馬牛」です。
そして、牛肉第2号は「神戸ビーフ」です。

これらの表示を「GIマーク」と呼びます。
また、「地理的表示法」で保護されているのでこれらの名前を勝手に使うことはできません。

ちなみに「GIマーク」の第1号はフルーツの「あおもりカシス」です。
「但馬牛」と「神戸ビーフ」の定義

・但馬牛
もともとは但馬地方で育てられた「但馬牛」の血を引く牛のことでした。
しかし、現在では兵庫県内で県の協議会委員が育てて県内の食肉センターに出荷した牛のことを言います。

・神戸ビーフ
神戸ビーフは但馬牛であることが前提です。
さらに肉の質や霜降りの度合等の厳しい条件をクリアした最上級の但馬牛のことを指します。
霜降りとはお肉の、赤い部分の中に白い脂肪が細かく網の目のように入り込んでいることです。

昔の国の名前がついた果物

ブドウ

ブドウと言えば粒が大きい巨峰やピオーネ、緑色の代表ではマスカットなどいろいろな種類のブドウがあります。
甲州葡萄・甲州ワイン
山梨県が日本全体の20%以上を生産するブドウで有名な場所です。

800年以上の栽培歴を持つ日本のブドウ品種に山梨県の旧国名である「甲州」をつけたのが「甲州葡萄」です。

旧国名の正式名称は「甲斐国」です。
しかし甲斐国は「甲州」とも呼ばれています。

このブドウはそのまま食べることもありますが主としてはワインを作るために使われています。

甲州葡萄から作られるのが日本を代表する白ワインの「甲州ワイン」です。


過去にブドウの生産量が1位だった「河内国(現在の大阪府)」
1920年代には甲州葡萄を大阪の河内で栽培しました。
そして、生産量が日本一でした(現在は8位)。

ブドウを作っているため現在でも旧国名のついた「河内ワイン」が作られています。

チョーヤの梅酒で有名な「チョーヤ」という会社は「河内のブドウ」を栽培する農家からスタートして、葡萄酒やブランデーを作っていました。

ミカン

昔の国の名前がついているのは「紀州ミカン」と「伊予柑」です。

現在日本で一番売れているミカンの品種は「温州ミカン」です。

このミカンは鹿児島県が原産地です。
かんきつ類の生産地として有名な中華人民共和国の地方である「温州」にその名前の由来があります。
紀州ミカン

 

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「紀州」は「紀伊国」のことで、和歌山県の昔の国の名前です。

紀州ミカンは温州ミカンと比べるとやや小ぶりです。
小ミカンとも呼ばれています。

「紀州ミカン」を有名にしたのは江戸時代の豪商「紀伊国屋文左衛門」です。

暴風雨の中を紀州からミカンを江戸に運びました。
そしてたくさんお金を儲けたので「紀州ミカン」が有名になりました。
「伊予柑」


「伊予柑」は山口県で発見されました。
しかし、愛媛県でたくさん栽培されるようになり県の昔の名前の「伊予国」から「伊予柑」と名前が付けられました。

伊予柑は他のミカンよりも大きくて甘みがありジューシーなので温州ミカンの次にたくさん生産量があります。


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